― ARIA The ANIMATION から ARIA The BENEDIZIONE まで ―
なぜ「何も起こらないアニメ」は、ここまで人の心に残ったのか
はじめに|ARIAにはストーリーがない
最初に正直に言っておくだお。
ARIAには、いわゆるストーリーはないだお。
- 世界を救うわけでもない
- 強敵と戦うわけでもない
- 明確な目的やゴールもない
それでもARIAは、
2005年の『ARIA The ANIMATION』から
2021年の『ARIA The BENEDIZIONE』まで、
16年かけて完結した稀有な作品だお。
では、なぜここまで長く愛されたのか。
答えは単純だお。
ARIAは物語ではなく
「生き方の姿勢」を描いた作品だからだお。
ARIA The ANIMATION|憧れは、理由がなくていい
物語の始まりは、水無灯里の「憧れ」だお。
- ネオ・ヴェネツィアが好き
- ウンディーネになりたい
- 理由はうまく説明できない
ここでARIAが提示する世界観は明確だお。
何者でもない自分が、
何かに憧れてもいい世界だお。
灯里は未熟で、失敗も多い。
でもこの世界では、
未完成であることが一切否定されないだお。
ARIAという作品の根幹は、
この一点で最初から完成しているだお。
ARIA The NATURAL|成長とは前に進むことではない
二期『ARIA The NATURAL』で描かれるのは、
成長の途中で必ず訪れる「迷い」だお。
- 周囲と比べてしまう
- 自信を失う
- 自分は向いていないのではと思う
特に象徴的なのが、最終話で灯里が語る
**「妖精になりたい」**という言葉だお。
ここで妖精(ウンディーネ)とは、
- 技術の完成
- 社会的成功
ではない。
誰かのそばに、静かに寄り添える存在
それが妖精だと再定義されるだお。
成長とは、
前に進むことだけではない。
誰かと一緒に立ち止まれることだお。
ARIA The ORIGINATION|完成と別れの物語
三期『ARIA The ORIGINATION』は、
シリーズ初の「終わり」を描いた作品だお。
- 灯里・藍華・アリスのプリマ昇格
- アリシアの引退と結婚
- 役割の世代交代
ここで重要なのは、
引退=敗北ではない点だお。
役割を終えることも、完成の一形態だお。
ラストで灯里は長い髪となり、
新人の愛を迎え入れる。
憧れは、
静かに次の世代へ渡されるだお。
ARIA The AVVENIRE|未来は「続いている」
AVVENIREは、
物語を進めるための作品ではないだお。
これは
未来がちゃんと続いていることの確認だお。
- 会社は残っている
- 世界は変わらない
- でも空気は少し柔らかくなっている
未来は
「こうなれ」ではなく
「こうであってもいい」に変わっただお。
ARIA The CREPUSCOLO|上下関係は信頼である
CREPUSCOLOで描かれるのは、
アリスとアテナを軸にした
先輩と後輩の関係性だお。
- 心配する先輩
- 応えようとする後輩
ここで示されるのは、
上下関係は支配ではなく、信頼である
という結論だお。
先輩は、
後輩を「導く存在」ではなく
信じる存在として描かれるだお。
ARIA The BENEDIZIONE|祝福とは、手放すこと
シリーズ最終作『ARIA The BENEDIZIONE』は、
ARIAという作品の最終結論だお。
ここで描かれるのは
継承という名の呪いだお。
- 期待
- 伝統
- 「次はお前だ」という無言の圧力
それらを否定するのではなく、
感謝とともに手放すだお。
BENEDIZIONE(祝福)とは、
受け継がなくてもいい
それでも、もし受け継ぐなら祝福されるべきだ
という許可の言葉だお。
ARIAが一貫して描いた三つの肯定
ARIAは最初から最後まで、
この三つしか描いていないだお。
- 憧れてもいい
- 未完成でもいい
- 手放してもいい
すべてが
条件なしで肯定されるだお。
なぜARIAは「癒し」と呼ばれるのか
ARIAが癒し系と言われる理由は、
- 事件が起きないから
- 音楽が優しいから
ではないだお。
否定されないからだお。
- できなくてもいい
- 遅れてもいい
- 向いていなくてもいい
ARIAは、
現実で最も言われない言葉を
最後まで言い続けた作品だお。
結論|ARIAとは何だったのか
ARIAとは、
社会に出る前に一度見たかった世界
を描いた作品だお。
そして最後に
BENEDIZIONEはこう語るだお。
それでも現実に戻るあなたを、祝福する
ARIAは
逃げ場ではない。
戻るための場所だお。
総括
正直言って、
ARIAは単なる癒しアニメではないだお。
ちゃんとキャラクターの成長構成があるお、これは癒しアニメにはほとんど存在しないだお。
ストーリーは本当にないだお、でもそれでいいだお。
ARIAは
必要な人にだけ、静かに届く作品だお。
そして一度刺さったら、
一生抜けないだお。